AWSがリリースしたブロックチェーンフレームワーク「AWS Blockchain Template」は何がスゴイのか

2018年4月21日 アマゾン(AWS)がブロックチェーンフレームワークAWS Blockchain Template」をリリースしました。
AWS Blockchain Template

AWSブロックチェーンフレームワークをリリースしたことによる、開発者サイドの利点について以下のとおり調査しました。

 1.結論

クラウドシェア世界No.1であるAWSが、ブロックチェーンフレームワークをリリースした市場へのインパクトは大きい。
AWS上で、ブロックチェーンの環境構築、アプリケーション構築、アプリケーションのリリースまで一気通貫でできる。
AWS Blockchain Templateは無料で利用できる。必要なコストは、ブロックチェーンネットワークを運営するために必要なリソース(Amazon ECSまたはAmazon EC2インスタンス)に係る費用のみ。
なお、Microsoftにてリリース済みのブロックチェーンフレームワーク「Coco Framework」と比較したかったが、時間が足りなかったため、今回は比較までに至っていない。

 2.「AWS Blockchain Template」の特徴

(1)Amazon ECSまたはAmazon EC2インスタンスブロックチェーンネットワークをすばやく導入し、Solididyによるアプリケーション構築に集中できる。
(2)EthereumとHyperledger Fabricの2つのフレームワークから選択できる。
フレームワークは、分散コンセンサスアルゴリズム、スマートコントラクト機能、およびアクセス制御機能を提供する。
(3)管理ツールとして、ブロックチェーンを管理、監視、参照するための追加コンポーネントが含まれている。
(4)AWS Blockchain Templatesには追加料金はかからない。ブロックチェーンネットワークを運営するために必要なリソースに係る費用だけでOK。

 3.用語の整理

(1)ブロックチェーンとは

ブロックチェーン(英語: Blockchain)とは、分散型台帳技術、または、分散型ネットワークである。ビットコインの中核技術(サトシ・ナカモトが開発)を原型とするデータベースである。
ブロックチェーン

(2)Ethereumとは

イーサリアム(英: Ethereum)とは、分散型アプリケーション (DApps) やスマート・コントラクトを構築するためのプラットフォームの名称、及び関連するオープンソース・ソフトウェア・プロジェクトの総称である。イーサリアム・プロジェクトによって開発が進められている。

イーサリアムでは、イーサリアム・ネットワークと呼ばれるP2Pのネットワーク上でスマート・コントラクトの履行履歴をブロックチェーンに記録していく。またイーサリアムは、スマート・コントラクトを記述するチューリング完全プログラミング言語を持ち、ネットワーク参加者はこのネットワーク上のブロックチェーンに任意のDAppsやスマート・コントラクトを記述しそれを実行することが可能になる。ネットワーク参加者が「Ether」と呼ばれるイーサリアム内部通貨の報酬を目当てに、採掘と呼ばれるブロックチェーンへのスマート・コントラクトの履行結果の記録を行うことで、その正統性を保証していく。このような仕組みにより特定の中央管理組織に依拠せず、P2P全体を実行環境としてプログラムの実行とその結果を共有することが可能になった。
イーサリアム

(3)Solidityとは
Ethereum(イーサリアム)上で動くスマートコントラクト開発の言語

(4)スマート・コントラクトとは

スマート・コントラクト(Smart contract)とは、契約のスムーズな検証、執行、実行、交渉を意図したコンピュータプロトコルである。スマート・コントラクトには第三者を介さずに信用が担保されたトランザクションを処理できるという特徴がある。ブロックチェーンおよび暗号通貨の主要な用途の一つでもある。
スマート・コントラクト

(5)DAppsとは
DappsはDecentralized Applicationsの略になります。
Dapps(分散型アプリケーション)は、ブロックチェーンを用いた非中央集権的なアプリケーションのことを指します。

 4.アマゾン(AWS)がブロックチェーンフレームワークをリリースした背景と影響度

(1)クラウド市場の世界シェアは、1位AWS 34%、2位Microsoft 11%。

米調査会社のSynergy Researchは2017年7月27日、第2四半期の世界のクラウド市場のシェアを公表しました。
世界のクラウド市場はAWSがシェア34%で独走、Microsoftが11%で追いかける。
クラウド市場の世界シェア

(2)2017年8月10日 

Microsoftは、ブロックチェーンフレームワーク「Coco Framework」を発表
Coco Framework

(3)2017年12月末時点。

イーサリアム(Ethereum)の共同設立者ジョゼフ・ルービン(Joseph Lubin)氏は、「現時点でブロックチェーンに本腰を入れている国際IT企業はマイクロソフトMicrosoft)のみ」とフォーブス誌の取材で語っている 。

AppleやAmazon「ブロックチェーンに興味なし」 本腰入れているのはMSだけ?

(4)2018年4月21日 アマゾン(AWS)がブロックチェーンフレームワークをリリース
AWS Blockchain

ブロックチェーンフレームワークではMicrosoftが先行していました。
今回、AWSブロックチェーンフレームワークをリリースしたことによって、ブロックチェーン技術を活用したアプリ開発の裾野が広がりそうですね。